個人投資家にとって、配当金による資産形成は堅実な投資法であると考えています
しかしながら、闇雲に高配当株ばかりを買い付けるのは安直で危険な方法です
この記事では、配当金を武器に株式投資をする上で知っておくべき指標のうち、『配当性向』、『配当利回り』、『YOC』について解説します
配当金による資産形成を考えている方に読んで欲しい内容です
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配当金の仕組みと関連指標
会社が配当金を準備して、株主に還元する仕組みを可視化しました
配当金は会社が稼いだ利益から支払われることになっています
その利益とは当期純利益で、利益剰余金として会社にストックされています
株主は自分の持っている株数に応じて配当金をもらうことができます
その仕組みと関連指標について深掘りしていきます
利益剰余金
利益剰余金は会社が稼いだ利益をストックした貯蓄みたいなものです
四季報や会社が発表する貸借対照表で確認することができます
利益剰余金には、当期純利益(会社の最終的な儲け)が積み立てられます
正確には、『親会社株主に帰属する当期純利益』が利益剰余金となります
配当性向
会社の最終的な儲けである当期純利益のうち、いくらを配当支払いに当てるかが配当性向です
配当性向 (%) = 配当の支払い総額 ÷ 当期純利益 × 100%
つまり稼いだ額のうち、何割を株主に還元するかを表しています
30%前後を目標とする企業もあり、このあたりの水準が健全な配当性向だと思います
低すぎる配当性向は、株主還元が弱く、株主を軽視しているとも捉えられかねません
また高すぎる配当性向は、会社の利益のほとんどを株主に還元しているため、会社の将来に投資できる金額が少なくなり、会社の継続した成長を妨げる可能性があります
1株あたりの配当額
株主は自分の保有する株数に応じた配当金がもらえます
1株あたりの配当額は、会社の発行する株数と配当の総額で計算されます
1株あたりの配当額 (円/株) = 配当の支払い総額 ÷ 発行株数
配当利回り
高配当株を購入する際に参考になるのは、その配当利回りです
配当利回りは、現在の株価に対して何割が配当金として還元されるかを表す指標です
一般的には3%を超えると高配当株として認識されています
中には5%を上回るような超高配当株も存在します
何ら問題のない高配当株は市場から放置されないはずなので、10%を超えるような超高配当株は何か理由があるのだろうと疑うべきです
YOC
配当利回りは現在の株価を反映した指標です
1株あたりの配当額が同じでも、株価が2倍になればになれば配当利回りは半分になります
1株あたりの配当額が2倍になっても、株価も同じように2倍になれば配当利回りは変わりません
それでは1株あたりの配当額が60円で株価が2000円の株券を買ったとしましょう
購入時の配当利回りは3%となります( 60 ÷ 2000 × 100% = 3%)
この会社が1株あたりの配当額を120円に増額したとしましょう
増配に歓喜した市場がこの株式を購入し、株価が2倍の4000円になりました
そうすると、配当利回りはやはり3%となります( 120 ÷ 4000 × 100% = 3%)
一方で自分は2000円で株券を購入していました
その配当利回りは6%となります( 120 ÷ 2000 × 100% = 6%)
これがYOCで、自分が購入した時の株価(簿価といいます)に対する配当の利回りを表します
YOCはYield on Costの略で、自分の買値に対する配当の利回りを表す指標です
YOC (%) = 1株あたりの配当額 ÷ 簿価 × 100%
配当利回りに影響を与える要因
次にどのような場合に配当利回りが変動するかを解説します
増配
1株あたりの配当額が増加することを増配と言います
配当額が100円/株である株券を100株持っていたとしましょう
受領できる配当金の総額は10000円ですね
増配により配当額が120円/株になれば、受領できる配当金は12000円となります
持ち株が毎年増配すれば、もらえる配当金は年々増えるため株主としてはこの上ない喜びです
企業の中には20年以上も連続増配している企業があり、継続した株主還元と考えられます
減配
増配の逆で、1株あたりの配当額が減ることを減配と言います
減配がおこるとYOCの低下に繋がるため、株主としては避けたいイベントです
会社の利益が縮小し、配当性向が上昇した場合減配がおこることがあります
会社が稼げていない状況で株主に配当を支払うのは、将来の会社経営に影響を与えるため、減配は正しい判断であるとも考えられます
大幅減益でも配当を維持する企業もありますが、会社が潰れてしまっては大変なので投資の対象としての魅力は半減します
銘柄選びの際に、継続して配当を維持・成長させられるような銘柄を選びたいですね
自社株買い
株主還元のひとつに増配がありましたが、自社株買いもその一つです
会社が自社の株を買い入れ、消却します
その年にもらえる配当額は変わらない自社株買いがなぜ株主還元と言えるのでしょうか
その理由は2つあります
株価が上がるきっかけとなる
自社株買いとは、会社が自社の株を買いますという宣言です
つまり継続してその株が買われるという安心感を生みます
その安心感から市場では株を買う投資家が現れるため、株価が上昇する可能性が高くなります
株価が上昇すれば、既存株主にとってはその差益が利益となるため、株主還元につながります
今後の利益増加や増配につながる
会社が自社の株を買い入れ消却するということは、市場の株数が減少するということです
市場の株数が減少すると言うことは、今後も会社が同じだけの利益を上げた場合、1株あたりの利益や配当額が増加することにつながります
将来的に株主還元につながるわけです
さいごに
以上、配当金で資産形成する際に確認したい指標についてまとめました
これからポートフォリオを構築される方は、これら指標を参照してみてください
何かの参考になれば幸いです
配当金で資産形成するメリットを解説しています、是非ご覧ください👇
* 本記事は個人の考えを示したものです、投資の判断はご自身でお願いいたします