株式投資において、購入した銘柄が倒産してしまうことは絶対に避けなければなりません。なぜなら保有している株式の価値がゼロになって資産を失うことになるからです。
それでは企業が倒産することは予測できるのでしょうか?完全な予測は不可能でも、会社が公表しているデータから会社の安全性を分析することができます。
この記事では銘柄の安全性分析について、4つの指標についてご紹介します。株式投資を始めたばかりの頃は知りもしなかった指標ですが、銘柄の購入にあたり分析するようにしています。
この記事は『PERって何?』という書籍を読んで学んだことをベースに記載しています。
この書籍は株価の割安度分析や企業分析などのファンダメンタル分析の指標を広く解説しているだけでなく、投資信託の分析や、マクロな経済の分析など投資指標の教科書として優れています。
投資家かっぱ
資産形成に取り組むサラリーマンかっぱ。配当株と成長株のダブル投資戦略により、豊かな資産を築きのんびりと生活するのが夢。Twitterでも投資に関して呟いています。
金融資産をざっくり棚卸ししたところ
1080万ほどに積み上がっていました
(MRF、確定拠出含む)。
約9.5割が日本株という偏重っぷり。
来月はボーナスを買付に投下するので
年内に1100万は確実に突破できそう!投資に目覚めて約3年、
ここからは複利でさらに加速して
膨張させて参りたいですね☺️— かっぱ⭐️配当金で資産形成 (@hibi_kappa) November 29, 2020
コンテンツ一覧
保有銘柄の安全性分析
銘柄の安全性を分析する方法として、以下の4つの指標を解説します。
- 流動比率
- 当座比率
- 自己資本比率
- 手元流動性比率
安全性分析をする上で、それぞれの指標に意味があります。僕が最近ネオモバで購入を進めているイントラスト(7191)を例に指標を見ていきます。
※提示する銘柄はあくまでも例示のためであり、個別銘柄を推奨するものではありません。投資は自己責任でお願い致します。
流動比率
流動比率は『流動資産』と『流動負債』から算出されます。これらの値は貸借対照表(BS)をみると確認できます。
さて、会社が倒産するのはいつか分かりますか?
それは会社の売上が減った時でも、赤字になった時でもありません。負債を返済できなくなった時です。
流動負債は1年以内に返済の義務がある負債です。その負債を流動資産でどのくらいカバーできているかが流動比率になっています。一般には120%以上の比率を確保できていれば短期的に安全と言えます。
- 流動資産:4100百万円
- 流動負債:1303百万円
- 流動比率:315%(4100÷1303×100%)
- 分析結果:十分な流動比率であり短期的な安全性が高い
当座比率
短期的な安全性を『流動比率』よりも厳しく見積もりたいですね。そんな時は当座比率を計算します。
当座比率は『当座資産』と『流動負債』から算出できます。これらの値も貸借対照表(BS)をみると確認できます。
流動比率と違うのは、『流動資産』が『当座資産』に変わった点です。
当座資産は、流動資産のうち現金化しやすいものだけを表しています。
- 現金や預金
- 受取手形
- 売掛金
- 有価証券
受取手形と売掛金は、商品を販売した時に代金を受け取っていない場合の権利です(売上債権)。売上債権に手形がある場合を受取手形、ない場合を売掛金と呼び、いずれも流動資産とみなされます。
当座比率は一般に90%以上であれば短期的に安全と言えます。
- 当座資産:3018百万円 + 241百万円
- 流動負債:1303百万円
- 当座比率:250%(3259÷1303×100%)
- 分析結果:十分な当座比率であり短期的な安全性が高い
自己資本比率
流動比率と当座比率から短期的な安全性を見積もりました。
しかし私のように中長期的な投資家にとっては、株式購入は数ヶ月のお付き合いではありません。短期的な安全性だけ分かっても不安が残りますね。
そこで数年先を見据えた中期的な安全性を見積もるために自己資本比率を使います。
自己資本比率は貸借対照表の『純資産』と『資産』から算出されます。
一般的には20%や30%あれば安全と言われていますが、私は特に40%を目安に使っています。金融業やクレジットカード業などは自己資本比率が平均的に低いため、目安は業界平均を用いると良いです。
- 資産:4727百万円
- 純資産:3376百万円
- 自己資本比率:71%(3376÷4727×100%)
- 分析結果:十分な自己資本比率で中期的安全性が高い
手元流動性比率
企業の安全性評価の三種の神器は『流動比率』、『当座比率』、『自己資本比率』です。
さらに会社が危機に瀕した時に重要な指標が『手元流動性比率』です。緊急事態にすぐに使えるお金がどのくらいあるかを示す指標で、『すぐに調達できる資金』と『一月の売上高』を用いて算出されます。
つまり一月の売上に対し、どのくらいの資金をすぐに準備できるかを示しています。すぐに調達可能な資金ですが、『現預金』と『有価証券』を使うのが保守的です。
一般的に1〜2ヶ月程度の手元流動性比率が維持されていると安全であり、小さい企業ほど長い比率が必要です。これは小さい企業ほど資金調達に時間がかかるからという背景です。
- 現預金+有価証券:3018百万円 + 0百万円
- 売上高:3627百万円
- 一月の売上高:302百万円
- 手元流動性比率:10ヶ月(3018÷302)
- 分析結果:十分な手元流動性が確保できている
さいごに
今回は株式投資を行う上で、会社の安全性を評価する4つの指標についてご紹介しました。
それぞれの指標は分析する対象の期間が異なるため、自分の投資に合わせて夫々の指標を分析する必要があります。
僕は個人投資家は長期的な投資に取り組む方が良いパフォーマンスを出せるのだと考えています。アルゴリズムや優秀な機関投資家がひしめいている市場において、素人の個人が短期的に利益を出すことは難しいと考えているからです。
長期的な投資を行う上で絶対に避けたいのは会社が倒産してしまうことです。持ち株の価値が全てぱぁになってしまうからです。
会社の安全性をしっかりと分析して、腰を据えた長期投資を心がけたいものです。以上、何か参考になれば幸いです。
参考にした本
今回ご紹介した分析指標は『PERって何?』という書籍を購入して勉強しました。
PERのような株価の割安度分析の指標から、今回ご紹介した安全性分析の指標、投資信託の見極め方や経済の読み方まで幅広く解説されています。
1章では『アマチュアがプロに勝つためには王道の投資スタンスがある』という話からスタートし、初めてこの本を読んだ私は『これまでの山勘投資』が恥ずかしくなってしまいました。
さらに日本、アメリカ、中国&欧州に分けた3つの経済分析に関する解説が展開され、マクロ視点での経済の見方について理解が深まります。
そして2〜4章では『企業分析』、『株価分析』、『投資信託見極め』と非常にボリューミーな内容がわかりやすく解説されています。
最近の投資では重要な指標とされているROEをはじめとした指標たちが幅広く学べます。
本書籍を読めば投資に必要な基礎知識が身につけられます。
投資の教科書を探している方にはオススメしたい一冊となっております。