20東証二部の都築電気(8157)が決算を発表しました。
都築電気は4月24日に業績の上方修正を発表しており、決算に注目していました。
発表の通り2020年3月期の業績は素晴らしく、前年比でも増収増益となりました。
配当金についても2020年は2019年に比較して16円増配の55円/株となっています。
一方で2021年の業績は減収減益の見通しで、配当金の減配も発表されています。
既存株主にとっては厳しい発表となりました。
- 2020年は増収増益で配当金も増額(55円/株)
- 2021年の業績見通しは減収減益、配当金も減配へ
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都築電気が決算を発表
5月15日、都築電気が決算を発表しました。
2020年3月期
緩やかな景気回復と、米中貿易摩擦の長期化による中国経済の減速、中国や欧州での自動車需要の低下などを背景に、製造業を中心に景況感は悪化しておりました。
さらに新型コロナウイルスの感染拡大により経済の先行きの不透明感は増すばかりです。
そのような背景の元、都築電気の2020年3月期の業績は売上高が前期比で5.5%増の125,366百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は42.6%増の3,155百万円となり、増収増益の決算となりました。
米中貿易摩擦の影響により電子デバイスビジネス(特に半導体ビジネス)の売上が大きく落ち込んだものの、メイン事業の情報ネットワークソリューションサービスの売上が伸びたことと、その収益性が向上したことが増収増益の要因です。
売上高営業利益率は2.79%→3.56%、ROEは7.86%→10.79%、ROAは2.85%→4.03%(2019年→2020年)となり、収益性の成長が見受けられます。
米中貿易摩擦など経済状況の芳しくない中、素晴らしい内容の決算であったと思います。
- 米中貿易摩擦など景況感は悪化していたが、増収増益
- 半導体ビジネスは貿易摩擦・コロナウイルスの影響を受けた
- 情報ネットワークソリューションサービスは成長
- 収益性についても改善
見通しは厳しい
一方で、今後の見通しは厳しい内容となっております。
まず懸念すべきことは、『新型コロナウイルス』の感染拡大が業績に与える影響です。
2021年3月期の業績予想は、売上高が10.7%減、営業利益が39.4%減、経常利益も39.9%減、親会社株主に帰属する当期純利益も43.0%減と、非常に厳しい見通しを立てています。
この見通しは、第一四半期が国内外の経済活動に影響あり、第二四半期異国は経済活動が正常化していくという前提に立っています。
現時点では緊急事態宣言が解除される方向に向かっていることから、この前提に誤りはないものと考えられます。
一方で感染の第二波が世界各国で報告されるなど、いつこの前提が崩れてもおかしくないとも考えられます。
緊急事態宣言の下では、取引先への営業活動に制約があり、受注活動に影響が出ているとのことで、このような厳しい見通しが出ているものと考えられます。
配当金も年間配当額は31円/株の予想で、2020年比で24円の減配となりそうです。
配当性向30%を意識した対応であると考えられます。
- 2021年3月期は減収減益の厳しい見通し
- 当期純利益は43%以上の減少を見込む
- 見通しは”第二四半期以降は経済は正常化される”という前提に立つ
- 現時点では営業活動に制約があり、受注活動に影響あり
- 24円の減配予想
中期経営計画を策定
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全国で緊急事態宣言が出されたことから、テレワークという働き方が一気に浸透しました。
もともと『働き方改革』という名のもとにテレワークなどが推進されていました。
このような半ば強制的にテレワークが敢行されたことで、一気に働き方改革は進むと考えられます。
決算では、中期経営計画『Innovation 2023』が発表されました。
重点施作として、①サービス化による事業構造の改革、②データドリブンビジネスの推進、③経営基盤の強化に取り組み、お客様に提供する価値を大きく向上させる、の3つが挙げられています。
このような逆境のもと、続く電気の強みである情報通信技術(ICT)をフル活用し、働き方を大きく変えるようなソリューションを提供して欲しいと期待しています。
- サービス化による事業構造の改革
- データドリブンビジネスの推進
- 経営基盤の強化に取り組み、お客様に提供する価値を大きく向上
この計画によると、2021年の業績の落ち込みは避けられないものの、2023年までに業績を改善し、2020年の水準まで戻すことを想定しているようです。
引用元:都築電気 中期経営計画策定に関するお知らせ
株価の反応
決算発表後の営業日であった5月18日、都築電気の株価は約12%下落しました。
4月24日の上方修正後に300円近く上げていた株価が、上方修正前の水準に落ちみました。
来期の見通しについて、市場が厳しく評価していることが分かる反応でした。
引用元:Kabutanホームページ(都築電気)
さいごに
2020年は米中貿易摩擦など経済活動の芳しくない中、文句なしの業績であったと考えています。
一方で新型コロナウイルスの感染拡大による経済悪化は、他と比べ物にならないほど影響が大きく、都築電気の来期の業績見通しにも大きな影響を与えているようです。
このような先行き不透明な状況の中、業績予想を発表できない企業が多くある中、減収減益の見通しが立てられただけでも株主としては評価できる発表だったと考えています。
また配当金の方針についても、堅実に配当性向30%を維持する方針を示しており、継続的に株主還元を続ける姿勢が買い見え、株主としては安心する内容でした(減配は悲しいですが)。
新型コロナウイルスという未曾有の災害の下では、何かしら新たなイノベーションが起こると確信しています。
そしてその一つが働き方改革であると考えています。
テレワークも今回の事態で経験した人が多くいるはずです。
『案外働けるものだ』と感じた人も多いのではないでしょうか?
私もそのうちの一人です。
テレワークが浸透すれば、ICT技術の需要拡大は加速すると考えられます。
厳しい環境が続きますが、今後の都築電気にもしっかりと注目していこうと考えています。