5月22日大引け後に、三菱UFJリース(8593)が決算を発表しました。
2020年3月期の連結経常利益は前期比で7.7%増加し943億円となりました。
3年連続の増益で、実に4年ぶりの過去最高益更新となりました。
一方で2020年4Qの業績は大幅に悪化し、連結経常利益は前年同期比で43.1%減益、売り上げ営業利益率も前年の9.9%から5.7%に低下しました。
この決算で僕が注目したところをまとめます。
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三菱UFJリースが決算を発表
コロナショックの最中、三菱UFJリースも例外ではないだろうと警戒していた決算ですが、4Qこそ業績は大幅に悪化したものの、通期では過去最高益を達成しました。さすがです。
不動産や航空事業が堅調に推移したことが売上高や各利益の増加に寄与したと言及されています。
2021年期の見通し
来期の見通しは配当金も併せて未定と発表されています。
理由は以下の通りです。
現時点では、新型コロナウイルスの終息時期を含め2020年度の事業環境を見通すことは難しく、2021年3月期の連結業績を合理的に予想することは困難なため、連結業績予想、配当予想とも未定としています。
引用元:三菱UFJリース 2020年3月期 決算短信
このコロナの状況下、見通しを立てることは難しいですね。
しかし下記のような前提に言及し当期純利益の試算を出しています。
ただし、以下を前提とした場合、2021年3月期の親会社株主に帰属する当期純利益は350~400億円程度と試算されるので参考情報としてお知らせします。なお、以下は一定のシナリオを仮置きした上でリスク管理の観点から算出を試みた参考情報に留まるもので、合理的な外部環境見通しに基づいた予想値ではありません。
(i)新型コロナウイルス感染拡大の主要国のピークアウトは夏以降。主要国の厳しい活動制限は夏場をピークに半年程度で徐々に緩和され、経済活動も2021年度にかけて徐々に回復。 (ii)こうした状況が多くの企業の2020年度業績に影響を与え、当社においても航空事業やロジスティクス事業等への影響が生じる。
引用元:三菱UFJリース 2020年3月期 決算短信
主要国における感染拡大のピークを抜けるのが夏以降とし、経済活動は徐々に回復するとしています。また航空事業やロジスティクス事業への影響も織り込んでいるという前提です。
あながち非現実的な見通しではなく、十分に納得できる前提だと感じました。
特に航空業界は甚大な被害を受けていますので、この影響を前提とした見通しが重要であると考えられます。
見通しでは当期純利益が350-400億円と試算されています。
2020年3月期が707億円ですから、この前提が現実的であったとしても当期純利益は半分に減益する見通しです。
影響を受けることは免れないですが、業績予想を未定とする企業が多い中、試算を提示してくれる姿勢は株主として非常に安心感を覚えます。
- 業績予想は未定
- しかし以下2つの前提に基づき当期純利益を300-400億円と想定
- 感染拡大のピーウアウトは夏以降、経済活動は徐々に回復
- 航空・ロジスティクス事業に影響あり
2021年の配当見通し
配当金の支払額についても見通しは未定となりました。
これは業績の見通しが立たないことが理由です。
一方で、僕が注目したのは下記の記載です。
当社はこれまでも、自己資本充実とのバランスを図りつつ、株主還元は配当によって行うことを基本とし、21期連続増配を実現してまいりました。新型コロナウイルスの影響が当社業績におよぼす影響を見ながら、これまでの増配の実績も尊重した上で検討いたします。なお、検討の結果として配当性向が中期経営計画で示した配当性向30%台を超えることもあり得ます。
引用元:三菱UFJリース 2020年3月期 決算短信
三菱UFJリースは連続増配企業として有名です。これまでに21期連続増配をしてきました。
この増配の実績を尊重すると言及されています。
そして経営計画で示されていた配当性向30%台を上回る可能性についても言及されています。
これは何がなんでも株主還元の方針を重要視する、という経営陣の熱い想いの表れのように感じました。
当期純利益を試算下限の350億円とし、年間配当金を25円/株とすると配当性向は64%となります。
過去12年の配当性向推移を見ると、2009年に52%という実績があるものの、2009年以外の実績は20%前後です。これを踏まえると64%は高すぎます。
当期純利益を400億円とした場合、配当性向は56%とやはり高い水準となります。
配当性向の上振れをどの程度許容するのかはよく分かりませんが、連続増配の実績を尊重するという姿勢に期待したいです。
少なくとも来期を待たず減配だ!という事態は免れたので、引き続き来期の業績に注目していきたいところです。
- 2021年の配当は未定
- 21期連続増配の実績に言及
- 配当性向30%台を上回る可能性についても言及
さいごに
どこもかしこもコロナショックの影が忍び寄ってきています。
業績の見通しが困難な状況でも、前提に基づく利益の試算額や株主還元の柔軟な対応案を提示した三菱UFJリースの決算に、経営陣の株主に対する熱い想いを感じたところでした。
今回の決算を受けて引き続き買い増しの方針を固めました。
ゆっくりと長く付き合えればと思います。
* 本記事は特定の銘柄を推奨するようなものではありません、投資の判断はご自身でお願いいたします