バリュエーション分析とは『銘柄本来の価値(業績)と市場評価を比較する分析』です。この分析により、現在の株価が『割安』か『割高』かを判断できます。
バリュエーション分析で用いる指標についてはコチラ:【株式投資】買い時と売り時を考える:銘柄のバリュエーションを分析!
バリュエーション分析の指標は単純でわかりやすいですが、実は奥が深いです。
バリュエーション分析の指標に基づいた買い時と売り時の考え方
* 本記事は特定の銘柄を推奨するようなものではありません、投資の判断はご自身でお願いいたします
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PER、PBR、ROEの関係
PERは『株価』と『1株あたり当期純利益』との乖離の程度
PBRは『株価』と『1株あたり資産』との乖離の程度
ROEは『当期純利益』の『自己資本』に対する百分率
これらの指標の関係は、PBR = PER × ROE で表すことができます。

ROEを『1株あたり当期純利益』と『1株あたり自己資本』と読み換えることがポイントです。
『1株あたり自己資本』は『1株あたり純資産』とみなせます。
PBRのバリューは、PERとROEの掛け算によって関係づけられるとわかりました。
本当にそうでしょうか?
東証一部銘柄で、PER、PBR、ROEが取得できた1880社について次のように図を書いてみました。
参照株価は2020年3月24日時点のものです

- 横軸はPER(倍)、縦軸はROE(%)です。
- 各プロットは銘柄です。
- プロットの色は、その銘柄のPBR(倍)で、6倍以上は全て青です。
どうでしょうか?きれいな関係が視覚化されました!
左下ほど(PERとROEがそれぞれ小さいほど)、PBRは低値を示しています。
右上ほど(PERとROEがそれぞれ大きいほど)、PBRは高値を示しています。
PBRが低いことから分かること
PBRが低い銘柄の分布に注目すると、下の図に示すようなことが分かってきます。

PBRが低いということは『稼ぐ力がない』もしくは『稼ぐ力あるのに割安放置』のどちらかです。
PBRが低いということは、PER、ROEのどちらか、もしくは両方が低いということです。
割安(PBRが1倍以下)であるにもかかわらず、株価が上昇しない(PBRが1倍を超えない)銘柄がたくさんありました👇

このような銘柄では稼ぐ力が大きくない、つまりROEが低いため、PBRを押し上げるほど株価の上昇につながらないという可能性が考えられます。
一方でROEが高いにもかかわらず、PERが低く抑えられているケースもPBRは低値を示します。
正にお宝株です!市場の暴落で連れ安となった場合に登場することがあります。
PBRが高いことから分かること
PBRが高い銘柄の分布に注目すると、下の図に示すようなことが分かってきます。

PBR高いということは『市場の加熱感』もしくは『稼ぐ力を織り込み済み』のどちらかです。
この場合、ROEが低いにもかかわらずPERが高くなり、PBR高値を示す場合があります。
これは業績の実態を反映しておらず、割高と考えるのが良いでしょう。
一方でROEが高くPBRが高い場合は話が別です。
すなわち『稼ぐ力がある』ことが明らかで、将来の純資産増加を織り込んだ株価上昇といえます。
バリュエーション分析をするなら
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おわりに
以上、PER、PBR、ROEの関係とその意味についてまとめました。

市場には個人投資家から機関投資家まで、さまざまな投資家が情報を吟味し株式の取引をしています。
すなわち株価には市場参加者の評価が即座に反映されます。
この記事で紹介した3つの指標は純利益や純資産によって変動する指標でした。
企業の出すIR情報や社会情勢によって、企業活動から生まれる利益は常に変動します。
株式を取り巻く状況と、実際に市場が示す指標とのギャップを上手く見出して、割安株を見つけることができれば、利益を享受することができます。
一方でそのギャップを見誤れば大きな損失につながってしまいます。
指標を正しく読めるようになりたいと思うばかりです!