豚の頬肉(豚トロ肉)を塩漬けにして作るグアンチャーレ。塩気が効いて豚の旨味が凝縮された熟成肉はパスタに使っても良し、炙ってそのまま食べても良しの素晴らしい保存食です。
そんなグアンチャーレを作る時に困るのが、豚トロ肉のブロックを手に入れるのが難しいということです。お肉が専門の大きなスーパーに問い合わせてもブロック肉は手に入らないことが多いです。
僕は精肉店に問い合わせてブロック肉を入手していますが、ここで単純な疑問。スライス済みの豚トロ肉ではグアンチャーレは作れないのだろうか?
ブロック肉で作るグアンチャーレも、食べるときは薄くスライスして調理します。だったら初めからスライス肉で作ってみてはどうだろうか?
結論:スライス済みの豚トロ肉でも美味しいグアンチャーレが作れます!
スライス肉であればスーパーにも売っていますよね。今回はスライス済みの豚トロ肉を使って、グアンチャーレを作るレシピをご紹介します!
- スライス済みの豚トロ肉でグアンチャーレが作れるか?
- スライス済みの豚トロ肉でグアンチャーレを作るレシピ
- スライス済みの豚トロ肉でグアンチャーレを作る際の注意点
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グアンチャーレをスライス肉で作る
どうしてもブロック肉が手に入らないのであれば、入手しやすいスライス済みの豚トロ肉でグアンチャーレを作ってみましょう!さっそく近所のスーパーでスライス済みの豚トロ肉を買ってきました。
ざっと厚みは1.5cm程度という感じです。悪くありません。美味しいグアンチャーレに仕上げてやりましょう!以下すべての作業は、消毒用のアルコールで手や食器を消毒しながら行ってください。
お肉の下準備
さてブロック肉と違い、スライス済みのお肉は衛生面が気になります。カットされる際にお肉に触れる面積が、ブロック肉と比べるとぐんと広くなるからです。そこで泡盛を使ってお肉の表面を消毒することにしました。
ボウルにお肉を入れて、上からドバドバと泡盛をかけました。箸を使ってお肉を混ぜながら、お肉の表面に泡盛が行き渡るようにまぶしていきます。泡盛は焼酎など、他の蒸留酒でも代用できると思います。泡盛は匂いも強くないのでオススメです。
お肉の塩漬け
お酒がしっかりお肉に馴染んだら、キッチンペーパーにお肉を乗せて、表面のお酒を取り除いていきます。全てのお肉をキッチンペーパーに包んだら、その間に岩塩を測っておきます。
今回は331gのお肉を仕込みます。岩塩は3%くらいが丁度良いので、10gの塩をはかりとりました。
それではお肉を皿に少し移し、上から岩塩を振りかけていきます。お肉を重ねるように、塩をまぶしながら皿に移し、全量を移し終えたら塩を揉み込むようにお肉全体を混ぜ込んでいきます。ビニール手袋をした手で揉み込んでも良いです。
お肉に岩塩が染み込んだら、保存用のタッパーにお肉を移していきます。お肉を敷き詰めて、その上からブラックペッパーをふりかけ、さらに上からお肉を積み重ねる。この作業を繰り返して初日の作業は全て終了です。
お肉の脱水
一晩お肉を寝かせました。写真だと分かりにくいですが、お肉から水分が抜け始めています。ここからはキッチンペーパーを使って、脱水を促進させていきます。
写真のようにキッチンペーパーにお肉を並べ、上面をキッチンペーパーで包んでいきます。全ての肉をキッチンペーパーで包み込み、全て重ねて金属網の上に乗せ、再び冷蔵庫で寝かせていきます。
キッチンペーパー取り替え
翌日お肉を確認すると写真のように水分でびっしょり。このような状態になっていたら、キッチンペーパーを取り替えて、同じようにキッチンペーパーに包んで冷蔵庫で寝かせていきます。
脱水4日目でも、写真のように水分が出てくる様子が確認できました。もうしばらく脱水を進めていきます。
もし脱水がうまく進まなかったり、湿度が高く肉が腐る心配があったりする時はピチットシートがオススメです。ピチットシートを使うことで、肉をあっという間に脱水させることができます。
お肉の味見と乾燥
脱水7日目のお肉の様子を確認すると水分は抜け切った感じがあります。ここまで脱水が進んだら、少し味見をしてみます。フライパンでお肉の両面を炙って食べてみましょう。あまりにも塩辛くなければOKです。
もし塩気が強いようなら、ボウルに水を張って30分〜1時間くらい塩抜きをしてください。もし塩抜きをしたら、キッチンペーパーでお肉についた水分を拭き取って、次の乾燥工程に進みます。
乾燥工程では、これまでと同じようにキッチンペーパーを使います。お肉をキッチンペーパーの上に並べて、香り付けのブラックペッパーを振りなおしてキッチンペーパーで包んでいきます。
これまで同様、金属網の上に乗せて冷蔵庫内で乾燥を進めていきます。1週間くらい乾燥させると良いでしょう。キッチンペーパーの交換は不要です。
完成
乾燥8日目、お肉の様子を確認すると、綺麗なグアンチャーレができていました!肉と脂のバランス、脂の照り加減が美しいですね!
ブロック肉で作ると、ここからお肉をカットしていく作業が必要ですが、スライス肉なのでその作業は不要です。このままジップロックに入れて冷凍庫で保存し、必要な時に解凍して使用してください。
ブロック肉とスライス肉の違い
ブロックとスライスの豚トロ肉ではグアンチャーレの出来にどのような違いが出るでしょうか。どちらのお肉で作っても美味しい味のグアンチャーレができます。しかし以下に示すように、ちょっとした違いがいくつか挙げられます。実際に使ってみた印象から解説します。
塩加減
ブロック肉では、お肉内部への塩の浸透が気になり、多めの塩分で塩漬けしがちです。その結果、完成品がすこし塩辛くなってしまいます。スライス肉では少量の塩でも安心して塩漬けできるので、塩分抑えめで作ることができました。
脂加減
市販のスライス肉は、豚トロの脂の部分がトリミング(取り除くこと)されています。一方でブロック肉で購入する場合脂身が多めで、お肉屋さんでトリミングなしでと伝えると、脂多めで購入できたりします。
もしグアンチャーレで豚肉の脂をガッツリ楽しみたい、という人がいればオススメはブロック肉です。逆に、脂身は少なめでお肉の味を楽しみたい、という人がいればオススメはスライス肉になります。
しっとり具合
完成したグアンチャーレを見てみると、ブロック肉では表面は乾燥しているものの、中身はしっとりさが残っています。逆にスライス肉では、肉の表面も乾燥している感じがあります。
焼いてみるとその差がはっきりします。ブロック肉の方がジューシーさが残っているような感じ、スライス肉では少し繊維質が強いしっかりした歯応えがあります。
よりジューシーなグアンチャーレを作りたいならブロック肉がオススメ、歯応えを楽しみたいならスライス肉がオススメです。
手間
手間は一長一短があります。お肉の入手手間を考えると、スライス肉は入手が容易、ブロック肉は入手が難しいという違いがあります。
仕込み中の手間を考えると、スライス肉では肉の消毒(これは個人の好み)が必要だったり、キッチンペーパーで包む際にスライス肉だと何枚もお肉を移動させたり作業が煩雑になりがちです。
完成した後に包丁でお肉をカットしていくのは少し手間なので、ブロック肉よりもスライス肉の方が手間がかからないとも言えます。
以上のように、一長一短の手間がありますので、どちらが良いと結論づけられないというのが本音です。
グアンチャーレを使ったレシピ
グアンチャーレを使ったレシピは過去記事を参考にしてみてください。さまざまなパスタ料理、特にカルボナーラには相性抜群です。また食パンに挟んでレタスサンドにしてみたり、いろんな料理に応用できる点が楽しいですよ!
【レシピ】自家製グアンチャーレを作る:豚トロ肉で簡単美味しい
パンチェッタとグアンチャーレのレシピ|朝食にレタストマトサンド
さいごに
今回はスライスの豚トロ肉で作るグアンチャーレのレシピについて解説しました。ブロックの豚トロ肉をゲットできないという人でも気軽にグアンチャーレが作れるので是非挑戦してみて欲しいです!
味はブロック肉で作ったものに引けを取りません。また脂が多くて気持ち悪いという人にとっても、スライス肉で作るサッパリなグアンチャーレはオススメです。
以上、何か参考になれば幸いです!