株価は毎日目まぐるしく変動しています
大きく上昇したり、突然暴落したり
会社の株価が変わると、会社の企業活動にどのような影響が出るのでしょうか?
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株価が変わっても、会社の資本は変動しない

毎日目まぐるしく変動する株価
株価が変動することで短期的に得したり、損したりするのは投資家です
株価の変動で会社の資本が増加したり減少したりすることはありません
企業の資本調達
株式会社が資本を調達するには、新しく株を発行する必要があります
証券取引所に企業が上場する際に、企業は株式を市場に売り出します
投資家がその株式を取得すると、企業はその購入額を資本として調達できるわけです
また上場後も新たに株を発行することで資本調達ができます
これを『増資』と呼んでいます
株価の変動は時価総額に影響を与える
株価の変動は企業の資本には影響を与えませんでした
一方で企業の時価総額には影響を与えます
時価総額とは、『現在の株価』×『発行済み株式数』で計算される値です
計算式に『現在の株価』が入っており、株価の変動がダイレクトに影響します
下の表に日本の時価総額トップ3を示しました
最も時価総額の小さい小島鐵工所だと2億3000万円しかありません
時価総額は日々変動し、投資家が評価した企業の株式価値と言えます
コード | 企業 | 取引値 | 発行済み株式数 | 時価総額(百万) |
7203 | トヨタ自動車 | 6,195 | 3,262,997,492 | 20,214,269 |
9437 | NTTドコモ | 3,155 | 3,335,231,094 | 10,522,654 |
9432 | 日本電信電話 | 2,503 | 3,900,788,940 | 9,763,675 |
・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
3869 | 小島鐵工所 | 230 | 1,003,564 | 231 |
時価総額の変動が意味するもの
時価総額は投資家が評価した企業の価値でした
企業活動が評価されれば株価が上昇し、時価総額があがります
逆も然りで、企業活動が評価されなければ、株価と時価総額の暴落を招きます
一方で、株価は市場の大局的な状況にも左右されるものです
コロナショックの様に市場全体がパニックになれば、企業活動に関係なく株価が暴落します
そのような場合、時価総額は企業全体で低下してしまいます
なので時価総額で企業価値を測る場合は、絶対的な値ではなく、同業種内での相対評価が望ましいと言えます
株価の変動が企業活動に与える影響

株価は企業活動に対する投資家の単なる評価に過ぎないことが分かりました
それでは株価が上がっても下がっても、社長は痛くも痒くもないのでしょうか?
実はそんなことは無く、社長は株価を下げ続けるようなことがあってはならないのです
株価が下がると資本調達に悪影響を及ぼす
株式会社の資本調達は新規の株を発行することにありました
上場後に新規株を発行する場合、現在の株価で株を売り出すことになります
ある会社の株価が1000円だった時と、500円だった時で資本の調達はどう変わるでしょうか
1万株を新規発行する場合、株価が1000円であれば1000万円を新規調達できるわけです
一方、株価が500円であれば、500万円しか新規調達できず、前者の場合と比べて半分の資本しか得られないのです
つまり株価を維持することは、企業が優位に資本調達をする上で欠かせないことなのです
株価が下がると企業が買収されるリスクが生じる
株価は時価総額に影響を与えると述べました
時価総額は企業の全株式を購入するのに必要な金額です
つまり株価が下がり時価総額が下がれば、企業の株式を買い占めるのに必要な金額が減ることを意味しています
時価総額を高く維持することができれば、企業を買収することは難しくなるため、企業買収を避けるためにも株価の維持は重要なのです
株価を上げるために意識される指標

株価は投資家にとってはもちろんのこと、企業の経営者からしても重要な指標であることが分かりました
それでは株価を上げるために、どのようなことができるでしょうか
企業が成長を続ける、新しい価値を創出し社会に貢献する、今後も社会貢献を通して成長の余地がある、といったことは当然必要なことです
この前提に立ち、企業が株価を上げるためにできることについて解説します
ROEは投資家も注目している指標である
近年ROEに着目した投資を行う投資家は多いと考えています
ROEとは、『Return on Equity』の略であり、自己資本に対してどのくらい純利益を稼ぐことができたかを表しています
ROEの算出については、下記記事を参照ください👇

自分の出資した資本を会社がどのくらい上手に活用し、会社の利益を生み出してくれたかを示す投資家にとって重要な指標です
ROEが高いということは、会社が利益を生み出すのが上手ということですので、ROEが高ければ高いほど、株主はその株を取得したいと思うわけです
会社の利益は、配当金や株価の上昇として株主に還元されるからです
つまり企業経営者はROEを高めることで、株価を上昇させられる可能性があります
経営者は会社の物づくりの効率を高めることでROEを高められるわけですが、実はレバレッジ経営を行うことで見かけ場のROEを高めることができます
レバレッジ経営とは、『自己資本』に加えて、銀行の融資などの『他人資本』を大きく活用することで、純利益を伸ばす経営です
資本が増えるわけなので、当然純利益は増加します
一方でROEの算出に必要な『自己資本』は、『他人資本』が増えようが増えまいが変動しません
なので『当期純利益』だけ増えて、『自己資本』は変わらないので、当然ROEが高まるわけです
レバレッジ経営の分析については下記の記事をご覧ください👇

このようなレバレッジ経営はROEを増加させる上では効果がありますが、うまく利益が出せなくなった場合に銀行からの融資などの返済が滞る場合もあり、最悪のケースでは企業倒産という可能性もあるため、投資家はしっかりと分析する必要があります
株主還元の姿勢は市場から評価される
高い還元率の配当金を支払う企業は、高配当株として注目を集めています
株価が下落しようとも、配当利回りが高まる株価をサポートラインとして、株価の下落がとどまるケースが散見されます
投資家からすれば、配当金は株式を所有するだけで得られるインカムゲインであるため、投資をする上では非常に魅力的です
つまり配当金を株主に還元するということは、株価を一定水準以上に保つ上で有用な手法の一つと言えます
配当金に関連した指標については下記の記事にまとめました👇

もう一つの株主還元として自社株買いが挙げられます
自社株買いがなぜ株価に影響を与えるのでしょうか
売り圧力が高まり株価が下落局面にある時、会社が自社の株を買い上げると発表すれば、投資家は株価の下落に歯止めがかかると考え、安心して株式を購入することができます
相場の需給が売りよりも買いの圧力が高まるため、株価は上昇に転じるわけです
自社株買いをするということは、市場に出回る株式の一部がその企業によって買い占められるということです
つまり市場に出回る株式の数が減少するため、1株の価値が上がります
株の価値として1株当たりの利益が意識されます
会社の利益自体は変わらず、株数が減るため、1株当たりの利益は増加するのです
このように自社株買いは、投資家に向け『会社は株価を上げる明確な意思がある』とのメッセージを送ることができるのです
さいごに
株式投資を始めたばかりの頃、株価と企業活動の関係について今一つ理解できませんでした
株価は投資家にとって大事な指標ですが、経営者にとっても同様に大事な指標です
市場の会社に対する評価であると同時に、新規資本調達や会社の買収リスクという意味でも極めて重要です
株価を上昇させることは、単に企業の評判を上げるというだけでは無く、企業の成長に無くてはならないものなのです
このように株価と企業活動の関係を理解した上で、企業経営者の株価対策に対する姿勢を分析することは投資家にとって極めて重要なことです
以上を念頭において銘柄選定を続けたいと思っています