果たしてこの格言は正しいでしょうか?
この格言ではナイフが床に落ちて動きが止まってからナイフを拾えば安全と説明しています。暴落が収まってからでも購入は遅くないということです。
なぜそのようなことが言えるのか、ハワード・マークス氏の名著『投資で一番大切な20の教え -賢い投資家になるための隠れた常識-』を参考にしながら分かりやすく解説していきます。
投資で一番大切な20の教え(ハワード・マークス著)
不良債権や高利債投資への投資が得意なオークツリー・キャピタル・マネジメントの共同創始者であり会長であるハワード・マークスが贈る投資本。
『大不況下でも勝ち続ける投資戦略とは一体何か!?』
世界一の投資家であるバフェットが推薦する『賢い投資家になるため』のバイブル的存在の名著です。
安い時に資産を買うこと、市場にはサイクルがあること、リスクとは一体何か、など投資家であれば一度は勉強したい重要な事実を全20章構成で解説!難しい数式などは使わず、思考法を解説しています。
* 本記事は個人の考えを示すもので特定の事柄を推奨するようなものではありません、投資の判断はご自身でお願いいたします
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落ちるナイフを掴むなは正しいか?
ハワード・マークス氏の『投資で一番大切な20の教え -賢い投資家になるための隠れた常識-』は、とても示唆に富む投資本です。先の読めない相場において、賢く取引をするための考え方が凝縮されており、僕も繰り返し読んでいます。
日曜日の夕暮れに読書📚
『投資で一番大切な20の教え』を読んでいますhttps://t.co/ZXBNuvjW39コロナショックの時に買った本で、繰り返し読んで考え方を養いたいと思える一冊です。
一番好きな章は3章の『バリュー投資を行う』ですかね🤔 https://t.co/XAPAjxW8mF pic.twitter.com/eErWr9YxDi
— かっぱ⭐️配当金で資産形成 (@hibi_kappa) June 13, 2021
さて、この本の11章『逆張りをする』において、次のような記述があります。
一つ確信を持って言えるのは、ナイフが床に落ち、混乱がおさまり、不透明感が消えるころには、超お買い得品は全く残っていないということだ。買うことが心地よいと思えるようになったころには、価格は超お買い得と言えるほど安くはなくなっている。
出典:投資で一番大切な20の教え -賢い投資家になるための隠れた常識-
一般的には逆張りは良くない、ナイフが落ちて混乱がおさまってから順張りをしなさい、という説明が多いですよね。株価下落中は触るのは危険だというわけです。
しかしハワード・マークス氏はナイフが床に落ち、混乱がおさまってからでは遅いと断言しています。そして不透明感が残る中で逆張りをして購入することが投資家の仕事だと説いているのです。
ナイフそのものが床に落ちゆく時、たしかに落ちるナイフは目に見えますよね。鋭い刃先を輝かせながら、猛スピードで落ちるナイフはとても危険に感じます。
そして床も目に見えます。ここが重要です!
ナイフは床に到達すれば、それより下に落ちることはありません。もちろんバウンドをするかもしれませんが、ナイフは次第に動きを止めるでしょう。
それでは株式相場はどうでしょうか?悪いニュースが出て、株式相場が急落し始めたとします。チャートの大きな陰線は、落ちるナイフそのもの、いかにも危険に見えます。
なぜなら株価が反発をして時間が経過することで、過去を振り返って始めて床が確認できるからです。
順張り投資家の考えに従えば、落ちるナイフが床に落ち、株価が上昇し始めてから買うのが良いということになります。
しかし床(底値)を確認できる頃(市場参加者の不安が解消された頃)には、逆張り投資家は利益が出始めています。そうすると次第に利益確定売りが出始めます。
床(底値)を確認してから買った投資家はどうなるでしょうか?含み益があまり出ないうちに再び株価が下がる可能性があるのです。
落ちるナイフを掴むなの格言を忠実に守りすぎると、市場の不透明感の解消を期待するあまりに、お買い得の時期を逃してしまうというわけです。
落ちるナイフを掴むためには
それでは落ちるナイフを何でもかんでも無謀にも掴まなければならないのでしょうか。それは危険ですよね。
本質的価値を理解するとは、さすがに今は売られすぎだと判断することです。これはPERやPBRといった割安度の指標や、チャート分析における株価の乖離度(売られすぎの指標)などに基づいて判断します。
他の市場参加者よりも本質的価値に対する理解を深めておくことで、周りの人がヤバイヤバイと叫んでいる時にコツコツと買うことができます。こうやってリスクを抑えながら将来の利益を獲得するための準備を進められるというわけです。
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落ちるナイフの掴み方については、以下の記事も参考になります。
リターンリバーサルとは?ネオモバで実践する逆張り戦略を解説!
さいごに
今回は『落ちるナイフを掴むな』は正しいのか?について、文献を参考にしながら考察してみました。
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